旅する木工教室について

森と木と、夢見るように旅をする。
「旅する木工教室」
森に入る。風に揺れる木々や木の葉の音を聞く。
新緑の瑞々しい青、紅葉の数えきれない程の様々な赤を観る。木の匂い、草の匂い、土の匂いをからだのなかに入れる。清々しくて、心地よくて、なぜか少し懐かしいような感じがする。
 街の雑踏から離れ森に一歩足を踏み入れるとその空気が一変する驚きを毎回感じます。木の匂い、草の匂い、それを支える土、それらを一手に封じ込め吹き寄せる風。五感と記憶、すべてを包み込んでくれるようなそんな場所、それがわたしたちにとっての森です。
 今そのような森が、特に植林され人の手によって保たれていくはずの森が危機的状況に置かれています。時代の流れやわたしたちの生活、林業を取り巻く環境の変化のなかで以前のように人の手が加えられていないのです。森を健やかに保っていくためには適度に木が伐られなくてはならないのですが、伐られても充分に使われなくなった今、伐られるべき木が今も森の中で時を過ごしています。その結果、その森自体がもともと持っていたはずの力までも失ってきています。
 わたしたちは今、森とまちと人を繋げる試みを始めています。日本の森の現状を少しでも良くしたい、もっとその木々を一人でも多くの人のもとへ旅立たせてあげたい。そんな想いで、こだわりを多く持った木工教室を開くことにしました。
 使用する木は日本で植林されている樹種の中で一番多い杉を使います。そしてただただ木工作品を完成させるということが目的というわけではない木工教室です。晴れて伐採され一枚の板になることができた木との出会いを大切にする作業から始まる教室です。木目の美しさや節の個性的な面白さ、木のザラザラとした手触り、部分によって異なる色、そして匂い。様々な感覚で木々と出会っていただく時間を大切にしたいと思っています。
 まずはものづくりを目一杯楽しんでいただくこと、木々が棚や引き出し、小物入れ、いろいろなかたちとなり、皆さんの色に染まって活かされること。それらのことが森に光を届けることに繋がり、日本の森が元気になっていく。そう夢見、願いつつ「旅する木工教室」は森から旅立った木々と共にあなたのもとへ、旅するようにまちに入っていこうと思います。 『旅する木工教室』 福井希帆

  • 森と木と人とがあらたに出会える機会をつくりたい。そんな思いとともに講師があなたの街に出掛けてゆきます。車に工具と材料一式を積み込んで知らない街へ。そんな出張型の木工教室です。
  • 木材を実際に手にとったときに感じるもの。手ざわり、匂い、色…。風合いそのままのザラザラ面を一枚一枚の木材の片面に残しています。節もそのまま使います。木が持っているものを感じとる時間を大切にして教室は始まります。
  • 持ちものは特にありません。作品ごとにあらかじめカットされた木工キットを使います。鉛筆で印をつけ、穴を開け、カンナがけをしてビスで組み立てていきます。天然素材のニカワを接着剤に、植物のトクサをヤスリに。最後は20色あるオリジナル塗料からお気に入りの色を塗り込んで完成です。
  • その日手にした木材はどこから来ているのか、産地がわかる木だけを使用しています。その木があった場所に想いを馳せることでわかる森の現状。また、木材は反ったり縮んだりする生き物です。作りながらたくさんの木の不思議を知ることができます。
  • 木工の作品は人の生活に入り、年月を経ることで風合いを変えていきます。作品完成の先には、人に使ってもらうことで変化し続ける木のストーリーがあります。

「旅する木工教室」
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株式会社ヤマフク

講師福井希帆(ふくいきほ)
大阪芸術大学卒業。
材木店、木工業を営む家に生まれる。野外保育やキャンプなどの活動を通して、まちのなかで自然と人を繋ぐ試み『まちの山小屋プロジェクト』を立ち上げ活動中。

アドバイザー福井敏浩(ふくいとしひろ)
米国ワシントン大学森林学部卒業。
株式会社ヤマフク代表取締役。
先代が開業した材木店を現在の木工業に切り替える。
主に「旅する木工教室」の木工キット制作補助を担う。